真夏のエデン3巻

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精一杯仕事をする中、秋也もあの夏の思い出を知っていると気づき、惹かれていく水夏。
冬麻との別れを決意するが、秋也に「冬麻のそばにいてくれ」と頼まれて・・・!?

3巻|ネタバレ

冬麻に別れ話を切り出そうとする水夏ですが、冬麻は高熱で倒れてしまいます。

冬麻の部屋に連れていき看病をします。

「別れ話だったんだろ。気づいてたよ、水夏からの留守電聞いた時から。」

悪い話だと思ってても冬麻は水夏に会いたかったのです。

「理由は?オレが嫌いになった?」

水夏は諦めてもらうために「嫌い」だと嘘をつきます。

しかし震えた声で「嫌い」と言われても信じられませんでした。

「オレのことが嫌いになったわけじゃないなら絶対別れてなんかやらない。」

冬麻は水夏をベッドに押し倒し強引に身体を触ります。

必死に抵抗する水夏を見て悲しい表情をする冬麻。

「こんなふうに傷つけたいんじゃないんだ。ただ水夏をオレ以外の誰にも渡したくない!!」

冬麻は乱暴したことを謝り部屋から水夏を追い出します。

翌日、水夏は秋也に冬麻と別れたことを報告します。

すると秋也は執拗に理由を聞いてきます。

しつこい秋也に水夏は言うつもりがなかった自分の気持ちを言ってしまいます。

「双子じゃなきゃ良かったのに。冬麻くんを裏切らなくてもよかったのに!あなたが双子のお兄さんでなきゃ!!」

望みがなくても一生言うつもりがなくても大事だった恋。

こんな勢いでぶちまけるなんて。

「君が全く別人の芦田水夏だったら良かったのに。あの夏の君じゃない君に出逢いたかった。」

秋也が言っていた冬麻を裏切る許せないヤツとは自分のことでした。

「オレは君のことだけは好きになってはいけないんだ。あの夏の芦田水夏はオレ達の特別な存在だから。」

その言葉の意味は聞けないまま、秋也は去っていきます。

2人の間に何があったのか?
あの夏に一体なにが・・・。

ある日の休日、水夏は永島に誘われカナと3人でお花見にきています。

するとあとから秋也もやってきました。

永島がいつも忙しそうにしている秋也を気遣い、仕事のトラブルの相談だと嘘をついて呼び出したのです。

しかし嘘だと知った秋也は「くだらない」と言い怒って帰ってしまいます。

永島の気持ちを知っている水夏は秋也の後を追いかけ、気持ちを伝えようとするのですが秋也には冷たく「帰れ」と言われてしまいました。

肝心なことはいつも黙ってただ周りを拒むだけの秋也。

水夏は自分のこととも重なりつい「自分だって勝手な都合ばっかりじゃないですか!」と怒鳴って帰ってしまいます。

途中、あの夏の渓谷と似た場所を見つけ涙を流す水夏。

叶わない恋だと知ってたなんて、そんなの嘘。

叶わなくていいなんて思えるわけがないのです。

その時、水夏は足を滑らせ川に落ちそうに。

助けてくれたのは追いかけてきてくれた秋也でした。

かまわれるたびに万に一つの期待をしてしまう水夏。

秋也にとってはただの義務だと分かっているのに・・・。

水夏はちゃんと諦めるために覚悟を決めます。

「ちゃんと失恋させてください。はぐらかさないで。どうしてあたしを好きになっちゃいけないのか、冬麻くんのそばにいなきゃいけないのか、二人の間に何があったのか、全部話して。」

14歳の夏、秋也と冬麻は祖父母のいる田舎で水夏と出逢いました。

水夏が二人を一人だと思い込んでいるのが楽しくて可愛くて、二人は交代で会うたび報告し合っていました。

その後、両親が事故で他界し、二人の面倒は祖父母が見ると言ってくれたのですが、経済的にも体力的にも一人しか無理だろうと。

そこで子供に恵まれなかった親戚夫婦が冬麻を望んで引き取っていきました。

初めは電話でお互いのことを報告し合っていた二人ですが、だんだんと電話の数も減っていきました。

お互い勉強や部活が忙しかったし、新しい生活に必死なんだと思っていました。

ですが誕生日も正月も会えないと言われた時、気づくべきだったのに、もう遅かったのです。

子供に恵まれた親戚夫婦は冬麻のことが邪魔で虐待をしていたのです。

顔や首のアザを見て冬麻がどんな目に遭ってきたのか、どうして自分に会おうとしなかったのか、ようやく理解することができた秋也。

「オレは兄貴なのに約束したのに、アイツの限界のSOSに応えてえやれなかったんだ。」

冬麻の辛い過去を知り涙を流す水夏。

「でもそれは秋也さんのせいじゃない。冬麻くんを裏切ったわけじゃ・・・。」

13年前の夏祭りの夜、本当は家族4人で東京に戻るはずが、秋也一人だけ田舎に残り夏祭りに行きました。

水夏と会う約束をしたことを秋也は冬麻に黙っていたのです。

先に帰った両親と冬麻を乗せた車が事故に遭ったのは、秋也が水夏と会っていた夜でした。

始発で東京に帰る水夏の見送りから戻ったら身元もわからないほど両親は重体で、朝意識が戻ったのは冬麻だけだったのです。

そんな秋也が水夏に会えるはずがありませんでした。

冬麻が会うべきだと思いストラップを渡したのです。

もし夏祭りのことを冬麻に話して誘っていれば、少なくとも冬麻だけは事故に遭わずに両親の惨状を見なくてすんだ。

もしも先に水夏を夏祭りに誘ったのが冬麻だったら・・・。

「アイツの傷や絶望はオレが背負うはずだったかもしれない。だからオレは芦田を好きになるわけにはいかないんだ。」

一方、地獄のような毎日を過ごしていた冬麻にとって、ストラップは唯一の希望でした。

いつか必ずもう一度水夏に会える。

ただ一言を伝えたくてそのためだけに生きてきたのです。

2人のうちの片割れではなく、今度は一人の男として「好きだよ」と言うために。

「水夏しかいらない。本当に。オレを好きじゃなくてもいい、そばにいてくれ。たとえ秋也のことが好きでも・・・。」

水夏は聞いたら納得ができると思っていました。

なのにどうすればいいのかもっと分からなくなってしまいます。

冬麻と別れると決めて別れ話もしたけど、あんな辛い過去の中ずっと好きでいてくれた彼を突き放せるのか?

そんな中、社内で冬麻と付き合っていると噂が流れます。

冬麻本人が話したと言うのです。

否定しようとする水夏ですが、ふとずるい考えが頭をよぎります。

冬麻のそばにいるということは、つまり双子の秋也ともずっと一緒だということなのです。

その頃、水夏に過去を話したと知った冬麻は秋也を殴ります。

「どうして水夏に過去を話した!オレ達兄弟の問題だろ!アイツにお前が抱えている罪悪感を感じさせるな!!」

冬麻は感情むき出しで今までの不満を冬麻にぶつけます。

しかしそれは秋也の作戦でした。

水夏を巻き込んだことは悪いと思っていますが、こうでもしないと秋也が自分を責めないからです。

冬麻は昔のことで一度も秋也に怒ったことがなかったのです。

「オレは責められたかったんだ。おまえにちゃんと謝りたかった。冬麻が怒りを隠してるのに謝ったらだたの自己満になっちまうからな。」

秋也は冬麻を抱きしめ過去のことを謝ります。

「約束したのに、たった二人の兄弟なのに一人にしてごめん。代わってやれなくてごめんな。それと勘違いしてるみたいだが、オレの欲しいものは別にある。弟のものは奪わねーよ。オレは兄ちゃんなんだからな。」

2人の会話を偶然聞いてしまった水夏。

秋也がどれほど冬麻を大事にしているのか思い知ります。

水夏はどっちの手も取らないと決意し、イルカのストラップを箱の中にしまいます。

その代わり、心の中だけは秋也に恋をすると決めて・・・!?

4巻へ続く

感想

今回、双子の過去になにがあったのかが明かされました。

予想通り二人は入れ替わって水夏に会っていたのですね。

暗くて重い展開なのですが、物語に引き込まれます。

冬麻くんは本当に良いお兄ちゃんだと思う。

最後のシーンはうるっときました。

それぞれ辛い想いしてるな~・・・とにかく切ないです。

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