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マチネとソワレ10話｜幕開け
一度、通しを見ただけの誠ですが、翌日、天戸が納得するほどには仕上げてきていました。
まだダメな箇所はあるものの、死ぬ気で取り組むとうい上演付きで彼を採用します。
そんな噂を聞きつけた一人のジャーナリストは、舞台初日からこのドロドロの関係の顛末には何かあるのでは？と天戸に接触します。
天戸は彼が千秋楽を迎えるころには、役者人生を大きく左右するほどの障害が出ると予想していましたが、自分の舞台さえ上手くいけば良いという考えしく、ジャーナリストは特ダネの気配を感じます。
マチネとソワレ11話｜初日
いよいよ始まった初舞台、誠は見事に山下のレアティーズを演じます。
観客を引き付ける花がアリながらも、まるで山下と舞台に立ってるような違和感の無さに、共演者たちも驚きます。
主演との掛け合いも見事に演じ切り、天戸も舞台初日の手ごたえを感じます。
しかし、熱演するあまり、役に入り切った誠は、怒りのシーンで本気で頭に血が上り、鼻血を出すほど入り込んでしまいます。
果たしてその事が意味するものとは・・・
マチネとソワレ12話｜過去の亡霊
幕が下り、最初こそ認めてなかった共演者たちですが、今日の演技であれば、今後もうやっていけそうだと、誠を認めてくれます。
”やっぱりココ（舞台）が俺の居場所だ”と改めて、実感します。
この舞台をけしかけた世良も彼が成功させれば、正式にマネージャーを引き受けようと思っていました。
”お前こそが俺が完成させるべき作品なんだ”
そう確信めいたものがあったので、誠が成功するともっと胸に燃える様な何かが込み上げてくるものだと思っていましたが、以外にも”スン”という感じです。
改めて、マネージャーの話をするのもこっぱずかしく、話す機会が無かったので、未だに本人には伝えられずにいます。
そんな中、上演数を重ねる誠に異変が起き始めます。
今日は今までと違いアドリブを演じてしまい、天戸から大目玉を喰らってしまいました。
そんな時、共演者から悪気は無いのですが”2号（山下）くん”というあだ名を付けられてしまい、一気に感情が不安定になります。
前世で言われ続けてきた言葉・・・
日に日に彼の中で役者としてのプライドが拡大していき、命じられた役と演じたい役がすれ違ってきます。
マチネとソワレ13話｜銃爪
こうなることは天戸も予想していました。
自己主張の強い役者にとって、解釈違いの芝居をさせられることは、何よりも辛く、精神を壊す役者も多くありません。
彼の将来がどうなろうと、千秋楽までは乗り切らせるつもりで、天戸も考えていました。
しかし、その千秋楽の日に、客席に兄の姿を見つけ、その感情は一気に崩壊します。
これまで必死に抑え続けてきた、自分が演じたいレアティーズ。
つまらなそうに芝居を見ている兄に本当の自分の役を見てもらいたくて、彼は台本を捨て、自分の芝居を演じます。
鬼気迫る迫真の演技に、観客たちも魅了されますが、演技を根底から覆し、共演者たちも何とかアドリブで繋ぐので必死です。
マチネとソワレ14話｜罪と罰
しかし、主役だけは負けじと持ち前の度胸とアドリブやビジュアルで再度、観客の注目を自分の元へと向かせます。
それに対して、誠は全く正反対の演技をしました。
”いい役者は、皮膚感で観客の感情を動かす”
台詞や動きが無くても、役者の感情が伝わる、よーするに”つられる”という事をその場でやってのけたのです。
迫真の演技に、幕が降りるときには劇場は大きな拍手の渦に包まれます。
しかし、そんなことを天戸が許すはずも無く、誠は次のシーンから役を下ろされます。
激怒した、天戸は最初に出した条件”舞台に迷惑をかけたら指を切る”を実行に移せと詰め寄ります。
そこへ飛び込んできたのは、世良でした。
躊躇うことなく、誠から包丁を取り上げ、自分の小指を切り落とします。
「初めまして天戸さん。自分は三ツ谷誠のマネージャーです。今回は申し訳ございませんでした。」
これが二人の伝説の始まりだった。
4巻に続く
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